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尖閣の中国漁船ビデオの流出について

海上保安庁の神戸の職員が流出させたと申し出たことで、その行為に対する賛否が騒がれています。私の意見は、今回の事件の特殊性を危惧するものです。

国民の知る権利として大きく問題とされた事件は、いわゆる西山事件として知られる、1971年の沖縄返還協定に絡む取材上で知りえた情報を、野党議員に教えた毎日新聞記者の西山太吉氏の事件です。詳細についてはここを参照ください。

本件は、アメリカが地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドル(時価で約12億円)を日本政府がアメリカに秘密裏に支払うという密約を、外務省の女性事務官から情報を取得したものでありました。後のアメリカの公文書公開に基づく書類から、実際に支払われた総額は合計1億8700万ドルにも上っていた事が明らかになり、さらには日本政府が米国に西山のスクープに対する口止めを要求した記録文書なども明らかになっています。

当初、この問題で世論は政府を非難していましたが、政府自民党と検察による巧みな世論操作により、問題の本質を密約の内容から情報取得に絡む女性事務官との関係が問題視されることで、世論は一転して西山氏に対する非難に変わってしまいました。本来、税金であるこれらの金は国会で議論されなければならないものが完全に隠されてしまったのです。結果として、国民の知る権利のために情報を開示した西山氏は起訴されて有罪とされてしまいました。

さて、問題はこの事件と今回のビデオの流出のどこが本質的に違うかについて意見を述べたいと思います。西山事件は、明らかにマスコミによる情報の取得で、国民に情報を開示して問題を提起しようとした事です。一方、今回の事件の背景には、中国漁船の海上保安庁の船舶に対する対応と、その船員を含む船長の中途半端とも思える政府の対応による保釈の問題で、マスコミによる政府の対応の非難が続いていました。船長の保釈は、結果としては外交判断であり、そのために政府としては現場で起きた事件のビデオ映像を非公開としていました。この事をマスコミも世論も対中国に対する弱腰外交であるとして非難してきたのです。その中で海上保安庁の職員が実際に起きた事件の核心とも思える中国漁船の動きを詳細に記録したビデオをネット上に流出させたのです。

このためマスコミや多くの国民、とりわけ奇異な事に官僚出身の評論家たちが、一斉にリークした海保職員を責めてはならないとする意見を展開し始めたのです。西山事件の時とは完全に違う対応を官僚側が取ったのです。未だ事件の解明が何もない時から、このような意見をマスコミを通じて展開する事は異常です。リークがあった直後に川口駅前に民主党の非難が書かれた書類と共にDVDが多数放置されており、単独犯であるかについての疑問もある中で、いきなり犯人を擁護するような意見ばかりが出る事に大きな違和感を感じます。本質的な問題はリークした当事者の秘密を守ろうとしないマスコミの態度にあります。しかし日本と言う国は世界と違い簡単に当事者を特定してしまうのです。しかもそれが官僚側の都合で当事者に対する対応が異なっているのです。西山氏や検察の裏金を告発した三井氏達は簡単に逮捕され罪に問われました。今回はどうでしょう、逮捕も起訴もされていません、しかも自らマスコミに名乗り出ているのです。

政府内で働く公務員側が、政権が自分たちの利害に一致しないからと言って勝手に情報をリークし始めたら、外交を含めた行政機能は完全に麻痺します。従って、公務員が知りえた機密情報については、一般国民やマスコミによるリークとは異なる対応が求められなければなりません。民主国家は、国民が多数を持って選出した国会議員などにより政治が運営される事が基本です。それを無視して、行政府の職員が、自分たちの利害関係を考えずに全ての情報をリークするならともかく、勝手に都合のよい情報だけを操作し、政府をコントロールしたりすれば民主国家は成り立ちません。今回の事件の背景は、その意味ではとても重要であり、単純な情報公開として見るのではなく、誰が何を目的で行ったかをしっかりと見極める必要があるのです。

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