スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

明治以来の日本の教育が忘れてきたもの

これまでも何度も明治維新の意味と、その後の日本がたどった道を西欧の近代の思想に基づいて解説を試みた。その意味では、現代の日本で問題になっている教育制度も同じである。それを説明してみたい。

明治以前、とくに江戸時代には鎖国という条件はあったにせよ、幼少期の教育の基本は心という精神の問題が主体であった。武士階級は朱子学という儒教に基づく倫理、その他の農・工・商の子供たちは、寺子屋というお寺での読み書きそろばんのほかに、仏教による倫理教育がなされた。もちろん、武士階級にも家庭内でも仏教による教えに基づく倫理的なしつけはなされていた。精神の重要性は、結局、その後になされた知識教育にも大きく影響し、知育という優れたものになり多くの素晴らしい人間が育てられた。それは幕末の武士たちの優れた外交感覚や、明治維新という変革を実行する大きなバックグラウンドであったことは間違いのない事実である。そしてその他の農・工・商の者たちの識字率も、人口比率においては世界で最も高いになっていった。この事が明治維新での変革を、世界が驚くほどの速さで成し遂げられた原因となってゆくのである。教育の問題と、その正しい方法がどれほど重要であるかの見本であろう。

その後、明治維新はすでに何回も述べたように、西欧の科学技術による発展というものをモデルにした国家にするため、教育もその目的のものに変えられていった。富国強兵のために天皇を中心とした忠君愛国という修身教育が精神的な教育として幼少の子供になされ、その後の知識は英語と数学を主体にした西欧の科学技術移入のための教育に変わった。この結果、日本人が過去から持っていた仏教、儒教や、八百万の神という原始神道などの全てのものが棄て去られたのである。しかし太平洋戦争の敗戦までは、国民の大多数はまだ過去の仏教の利他の思想や、原始神道の神仏習合などの思想は色濃く残っており、こころの問題での急激な劣化というものは起きなかった。それが問題化するのは敗戦による国家体制の大転換からである。

米軍を主体にした占領軍は、日本の過去の軍国主義による富国強兵という体制を解体すべく、天皇を神とする国家神道に基づく全ての思想教育を禁止した。この結果、昨日まで正しいとされた思想教育の全てが変わり、正しいものが間違ったものになり、民主主義に基づくものだけが正しいものとされる価値観の大転換を余儀なくされた。ここまでは正しいやり方であったが、教育者たちは極端な変更を行わざるを得なくなり、そこでは全ての精神的問題は封印されていったのである。国民も敗戦から立ち上がるために、過去の問題を忘れて生活の再建に必死になってゆく。天皇のために死ぬという重しが無くなった事で、国民はむしろ民主主義というものの導入に反対はしなかった。その結果、教育内容の大転換も大きな反対も無く、すんなりと受け入れられたのであるが、心の教育の根拠を何に求めるかという議論がなくなったのである。

このような背景から、教育からは精神的なものがすべて消え、道徳の拠り所を何にするかの議論さえなくって今日に至っている。勤勉な国民のおかげで経済は急速に復興し、又しても世界が驚くほどの速さで日本は復興した。逆にその成功のために、教育はますます技術というものだけが大事にされ、戦前のような英語と数学だけが主体のままにされ続けてきた。輸出による経済的な重要性ばかりが叫ばれ、科学技術の必要性は戦前にも増して大きくなり、ついには日本列島改造論という自然を大きく作り変える方向となって行った。家庭でも、良い学校、良い会社、高い給与という物質的欲望追求の社会となってゆく。それは基本的に現在も変わっていない。教育から心の問題はますますなくなり。知識人といわれる者たちは、民主国家の元での心の教育というものを放棄したまま義務を果たしておらず、精神の荒廃は無差別殺人や「いじめ」という問題を加速させている。さらに公務員や政治家、知識人たちの中にも平気でウソをつく者が続出している情けない社会になってしまった。

今、この国は本当に心の問題を教育の中にどのように取り入れるかを真剣に議論しなければならない。すでに遅れに遅れた問題ではあるが、このまま放置すれば道徳なき社会となってしまい、それは過去の歴史が示すように社会から国家の崩壊というものになっていくだろう。我々は真剣に教育の中に心の問題を入れなければならない。その基本を何に求めるべきか、早急な国民的議論が必要である。
月齢・日付・時刻
この記事に対し意見を呟く
訪問者カウンター
全記事表示リンク
最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。